岡本の洋館
現在の用途 : 個人所有
所在: 神戸市東灘区
敷地面積: 1032.09㎡(312.2坪)
構造: 木造(一部コンクリート造)3階建 地下駐車場
設計: 木子七郎
施工: 清水組(現・清水建設)
竣工: 大正12年(1923年)
延床面積: 約434.15㎡(131.33坪)

以下・岡本の洋館パンフレットより

◆ 岡本の洋館について 横浜国立大学教授 大野敏

棟札により実業家稲畑二郎が大正11年に建築、棟梁は清水組(現・清水建設)であることが判明する。設計は木子七郎。
その後、稲畑氏の所有から宮地汽船迎賓館を経て、さらに昭和40年頃に「岡本ガーデン」という名で分譲地化する計画が進んでいた時に、旧屋敷地の中枢であった洋館部分が塩野氏の所有となり、かつての屋敷景観がかろうじて存続された。
現存する建築も大型の2階建て(立派な屋根裏部屋付きなので3階建てともいえる)・木造・天然スレート葺、玄関付きの洋館で、保存状態が良く、主体部に大きな改造は認められない。
著名な建築家による本格的な設計であることは、室内の細部意匠(床、腰壁、扉廻り、調度などの木造造作。漆喰壁の縁飾りや中心飾り。灯具。玄関ホール階段室周りの壮大感)、鱗状の下見板壁による外壁と複雑な屋根を組み合わせた印象深い外部意匠、直線材と荒々しい木材加工を見せた玄関の力強い造形意匠、トラス構造を熟知した洋風小屋組、などの諸点に良く現れている。
これだけの建築を再現する事は大変難しく、かつての邸宅計画を偲ぶ極めて貴重な歴史的・文化的資産といえる。


◆ 設計者 木子七郎(きご しちろう)について

明治17年、明治期の和風建築の権威としてしられる宮廷内省内匠寮技師・木子清敬の四男として生まれる。東京帝国大学卒業、大林組勤務の後、大阪を拠点に多彩な設計を手がける。「久松定謨伯爵別邸(現・萬翠荘:重要文化財)」、「松山大学温山記念会館(旧・新田利國邸:登録有形文化財)」、「愛媛県庁舎」など。


◆ オーナーより

明治、大正からの昭和の戦前期にかけて建てられた神戸市内の近代洋風建築は400件以上が確認されています。しかし現在ではその多くが取り壊されてしまいました。昔から神戸の高台に建つ洋館に憧れていた祖父が、この「岡本の洋館」を購入したのは私が5歳の時でした。それから結婚するまでの数十年をここで暮らしました。子どもの私には、この大きな洋館は不便に感じられて、友人達の便利で快適な家が羨ましくて仕方ありませんでした。でも大人になり、この家に帰ると気持ちが和らぎホッとします。手がかかるほどに、とても愛おしく感じます。可能であれば「岡本の洋館」を後世に引き継ぎたいと考えております。是非とも皆様にご支援とご協力をお願いします。