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森の別荘
2024年11月 継承されました
  • 所在
    長野県
  • 竣工
    1994年
  • 設計
    妹島和世建築設計事務所
  • 構造
    鉄筋コンクリート壁式構造
  • 施工
    清水建設
  • 延床面積
    201.72㎡(1階 146.32㎡ / 2階 55.40㎡)
  • 敷地面積
    1,262.00㎡
  • 竣工時の用途
    別荘(アトリエ兼ゲストハウス)
  • 備考
    担当:妹島和世、西沢立衛、船木幸子、川村哲也
森の別荘

この建物は東京から車で2時間半ほどの長野県蓼科の別荘地に建つ。深い森に覆われた山の中の別荘地で、ここでは敷地がどこまでかわからず、区画という概念を忘れさせる。また背の高い樹々は日射を分散させ、方位という方向性をなくし、一種の均質空間をつくっている。ここに、画廊のオーナーであるクライアントは、夫婦のための別荘兼ゲストハウス、芸術家のための創作の場を望んだ。
私たちが要求されたのは展示壁のあるアトリエとリビング、ふたつの寝室、浴室からの眺望、車で直接建物にアプローチすることなどであった。
これらの与条件と、冬の寒さや雪のことから、どこにでも開口が取れる鉄筋コンクリート壁式構造を選択した。平面的には、自然の均質空間の方向性のなさを持続できるのは、円形がもっとも可能性があると判断し、実施案が決定された。また断面的には、方向性が唯一見られる敷地の傾斜に対応し、それとほぼ同じ勾配で、傾斜と逆の向きに屋根勾配が決められている。これらによって、円形と、緩やかに変化するリング状のふたつのワンルームを得ている。前者を全面トップライトによる、自然光あふれるアトリエとし、後者はキッチン、ダイニングや、一部吹抜けには寝室が東面して配され、生活のための諸機能を納めたリビングに当てられている。
このふたつのスペースは異なる性格上、建具を閉めれば完全に切られ、単独での使用も可能である。一方、ふたつを一体として使用するためや、眺望や採光を得るために、コンクリートの壁には、いろいろな開口を取られている。リング状に閉ざしたことで得られる、終わりのない回遊性の中に、突然森の中に入り込む動きや、視線が取り入れられており、これらのことによって、開放的な体験ができることを目指している。白く塗られた外壁面とアトリエの壁面には、樹々の影や日の光が写り込み、あたかも大自然の中に置かれたスクリーンのように表れている。

(『新建築 住宅特集』1994年5月号より)


写真提供:妹島和世建築設計事務所

※ 2022年妹島和世建築設計事務所の改修設計により、修繕・メンテナンス終了。

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